第57話 ECC
 

春の行楽シーズンが始まった土曜日だった。  

視界の左から紺色のスーツの白人女性が近寄ってきた。

突然無言のまま、左肩に赤色のECCと入った名刺を見

せた。ECC以外は真っ白なのでピンとこなかったが、

思い切って「スクール?」と聞いてみた。「イエス」と小

さく頷いた。咄嗟に3か所の道順を言うのが無理と判断

「フォロミー」と歩き出した。歩くのが遅くはない私を

追い抜こうとするから急いでいる様子、小走りに70m

看板の見える所で指さしした。見えない様子・・・。

首を曲げるので、タテにECCとゼスチャーすると、

「オーサンキュウ」と歩いて行った。戻る途中、縦に読む

習慣が無いから、横に「WOO」と読んでいたのかな

と思いつつ、新人講師?に幸あれと願った。