第46話 天候のイタズラ
 
 
 三宮駅前のバスターミナルが再開発される計画が本格的に動き出した。
現在、市バスを除いてバス会社が40社、路線の数が100を超えている。切符の発売窓口は5か所ほどあり、遠い窓口は、ミント神戸から500mほど離れている。
 
暑い夏がやっと終わり気温が30℃を下回るようになった日曜日の昼過ぎだった。その日は、雨こそ降っていないものの湿度が高く、じっとしていても下着がベタつくような不快な気候だった。
 
突然、やや早口で「切符の窓口はどこですか?」40代のサラリーマンが尋ねてきた。いつものように行先を尋ねると、キャンセルして払い戻すと言う。
 
バス会社によって窓口が異なるので、「バス会社はどこでしょうか?」と言うなり、「そんなことを聞いていない(怒り)」と会話にならない。切符を見ようともせず、「もうエエワッ」と言いながら、人混みに消えてしまった。
 
この日は、こんなケースが3件ほど続いた。こちらはいつも通りの口調で話していたが、天候のイタズラだったようだ。