第52話 困難なご案内 
 
先日、通路にヨーロッパ系の高齢夫婦が立ち止まっていた。
大きな旅行キャリーバックを置いて困っている様子。
「どちらへ?」、「ウェア ユー ゴー?」、「メイアイ ヘルプ ユー」
いろいろ尋ねてみたが全く通じない。ただ、「ウゥッ!」と言っている
ので、聾唖者だとすぐに感じ取った。外国人で聾唖者のご案内は
困難を極めると思いつつ、                        
飛行機をイメージして、手の平を斜めに上げてみたが、違うようだ。
 長距離バスをイメージして、ハンドルを持つ仕草をしたが違うようだ。
  突然、奥さんが両手の手の平を立てて、上下に廻した。汽車のイメー
   ジからJRラインと理解できたので、改札口が見える所までお連れして
聞こえないだろうが、「ゴー ストレイト」と送り出した。                
二人そろってにっこり微笑んでくれた。