第3話 結婚式場はどこ?
              
   
結婚シーズンにはよくあること。
60代の両親と、その子供といっても20代の背の高い青年二人にやや年下の娘さん、と見られる5人家族が近づいてこられて、「今日の結婚式はどこですか?」と聞かれた。全員正装でそのまま式場に入られる出で立ちだった。
 
結婚式場はホテルを含めると三宮界隈では30を以上あるので、「結婚式場はどちらでしょう?」とききかえす。「だから、それを聞いてるのじゃけ」とその父親。式場名を聞くも「それが分からんのじゃ」。何だか禅問答のようになった。
 
よく聞いてみると、招待状を家に置いてきたので式場名が分からないという。会場名の1字か駅から歩いて何分と書かれていたのか、いろいろ誘導しても出てこない。青年に新郎の携帯電話か、出席予定の友達に連絡するように勧めた。少し離れて電話をしたようだが、いずれも繋がらなかったようだ。
 
「スミマセン、私としてはお手上げです。もう少ししてまた電話してみてください」と言うと、5人はボー然として駅の人ごみに消えて行った。かなりの時間を要したが役に立てず気が重かった。
 
つい最近も、成人式を終えたばかりのようなフレッシュな青年二人が「〇〇さんの結婚式場はどこですか?」と近づいてきた。式場名、ホテルを聞くと 「エッ、わかりません」。招待状を置いてきたと言う。友人に聞いて分かったら来るように言うと、立ち去ったまま来ることはなかった。
 
ある時は、ホテルを間違えたのか夫婦喧嘩をしながらタクシーへ向かう人もいる。結婚式の場合、招待状ではなく、入場券かご馳走引換券にしてはいかがか。(冗談です)