第11話 痴漢逮捕に協力
                
 
最近、有馬温泉へのバスに乗る人が増えた。当然、到着のバスで戻ってくる人も増えている。
 
いつものように、お金を払ったり、カードを読ませたり降車が続いていた。ほぼ降り切った時、突然「あの人です!」と女性の声がした。すると、バスの運転手が降りて猛ダッシュで走った。何のことかわからないので、女性のそばへ行って尋ねると、痴漢にあったという。二人連れの女性は、前にも被害に合っていて許せないと興奮気味だった。
 
座席シートの後ろから手を出して来ておしりを触られたようだ。3分ほどすると運転手が若い男を捕まえて戻ってきた。男をバスに引き込んでから、運転手が被害女性に「110番するよ」と言うが、当人たちは怖くなったのか返事をしない。
 
そこで私は老婆心ながら、30分位時間があるのなら、警察に届けた方が再発防止になるよと、話しかけたが、「予定があるし‥‥」と煮え切らない。一方の女性が「1件はキャンセルしようよ」と説得に回ってくれたので警察を呼ぶことになった。
 
すかさず、私は運転手に110番するより交番へ走るから、と言うなり50mをダッシュした。交番へ飛び込むなり「バスの運転手が痴漢を捕まえているので早く!」 と言いながら早足で警官と現場へ向かった。警官は途中、無線で連絡しながら、結局4人の警官が現場のバス付近に到着した。
 
加害者と被害者を切り離して簡単な聴取後、全員交番へ向かった。
すぐに平穏なバスターミナルに戻ったが、何と言っても、神姫バスの運転手が通行人の間隙を縫っての素早い猛ダッシュが印象的だった。