第28話 路チュー 
 
 
 朝から雨が降り、突風の吹く荒れた天候だった。
 
観光客は少ないものの、ホテルのシャトルバスは1台では乗り切れず長蛇の列が出来ていた。そんな状態がやっと収まり、雨も上がった正午を過ぎたころ、日本の女性と欧米系の男性カップルが案内地図にやってきた。
 

女性が案内をしているというよくある組み合わせである。「徳島へ行きたい」に対して、毎時10分に神姫バスから、毎時40分にJRバスから出ています。と、言いつつ時計を見ながら (12時8分なので神姫バスは無理だと思い)次はJRバスになることを告げるや、「神姫バスは間に合いませんか?」

「少し走れば間に合うかも知れません」と言いつつ場所を説明するや、二人は駆け出した。間に合えばいいが‥‥と見送った次の瞬間、目を疑った。

10mほど走った後、二人は突然止まって何と! 抱き合ったかと思うと突然 チュー(いわゆる路チュー)を始めた。通行人が少ないとは言え、子供連れの家族も歩いている道の真ん中で。

その後も一向に離れる気配がなく、二組の案内を終え見ると姿はなかつた。当然、間に合っていないはず、そもそも急いでいたのではなかったのか。(怒り)

ご案内をしている立場を離れれば、身長差のバランスといい、愛を交わしている姿は絵になる風景ではありました。ハイ。