第32話 外国語は勢いだ 
 
 
年々、神戸に来られる外国人は増えてきている。
 
快晴の日曜日だった。いつもより人通りが多く忙しくしていると、欧米系の中年女性が地図板を長く見ているのに気付いた。日本語で「どちらへ行かれますか?」
 
その女性は、日本語を理解しないままキレイな英語で答えてくれた。その中にホテル名が聞き取れたので「ホテル オークラ?」、「イエス」と返ってきた。
ゼスチャーと共に「デイスウエイ ストレイト ナンバーエイト」と言うと、「サンキュー」と言いながら歩き始めた。
 
次の瞬間、年配の男性が近づいて来て、「あなたは、何か国語しゃべれるのですか?」。これに対し、全くと言っていいほど外国語は話せない旨を答えた。男性は、ブレザーにエンブレムを着けた落ち着いた紳士だ。
 
語るに、日本人に語学を教えているが、「キチンと話せなくても通じるものだ」と教えているとのこと。私は、ゼスチャーと単語を並べるとほとんどの人は分かってくれますよ。すると、「そうだよな」と言いつつ、良い現場を見たとばかりに去って行かれた。
 
外国語の離せない私としては、ネットにつなぐ自動翻訳器は市販されているが、役に立たない。
せめて英語、韓国語、中国語の同時通訳器の出現を待っている。