第41話 こわい人たち
 
 
 神戸の土地柄か時として本物のこわい人たちを見かけることがある。
 
久しぶりに清々しい行楽シーズンの土曜日だった。多くの人が行き交う駅のコンコースで、威圧感と言うかオーラがすごく出ている三人組が遠くに見えた。親分のやや後方に二人が従っているようだが、親分らしき男性は、ヘアから足もとまで一般人のそれとは違っていた。自然なガニ股、肩のゆすりなど歩き方も一流だ。
 
私の立っている案内場所を通り過ぎるかと思いきや、眼光鋭く近寄ってきた。「兄さん、淡路に行きたいが、どこや」と来た。淡路島は大きいので、東浦、洲本、五色、福良と説明するや、洲本だと言う。毎時5分発と40分発では乗り場が違う旨説明するや、「5分」と短く返ったから、切符は(方向を示し)ターミナル内で買って、5番で待つように案内した。すぐに「おじさん(兄さんから昇格?)ありがとう」と言いつつ、例のスタイルで歩き始めた。
 
今までも、こわもての人はほとんどが礼儀正しいし馴れてはいるが、今回は改めて人は見かけで判断してはいけないと、ホッと安堵した。