第42話 不祝儀袋??
ゴールデンウィークが終わって通常の土曜日、人通りも落ち着いていた。 ご案内が空くのを待って、杖をついた90を超えた高齢のおじいさんが近づいてきた。そして、いきなり袋からご霊前と書いた不祝儀袋を出した。 意味が解らず、「どちらに行かれますか?」と聞くと、袋を揺らすだけで、喋ることが出来ない様子。葬式の会場へ行きたいとの意思が確認できたものの、一言も喋らないので、よく見ると咽喉あたりに器具があった。 この近くでは、ベルコがあるので確認すると曖昧な動きしかない。お手上げ状態だが、とりあえずベルコへの道順を案内することにした。普通ならJRに沿って3~4分歩いた右側ですと言うところだが、しばらく歩くと右側にあります。と言って送り出した。 会話が出来ず、会場も解らず、人混みの多い街へ出て来るとは、ご家族にも言えない昔の彼女が亡くなられたのか、と想像しながらのご案内となった。 |