第13話 短縮言葉
              
 
最近は若い人が短縮言葉を使って尋ねて来ることが多くなった。
 
少し前になるが、ミドルティーンの少女二人が案内地図板を長く見ていたので、声を掛けると 「サイゼハドコニアリマスカ」 抑揚のない早口で返ってきた。カタカナで書いたのは、日本人の少女が発する言葉を、日本人の私が理解できなかったから。
 
軽いショックを受けつつ、「エッ、どこでしょうか?」に対して再び同じ言葉、口調で返ってきた。「サイゼンハ、どこにありますか」と聞こえたので、「サイゼンって?」と尋ねた。「サイゼリアのことですけど‥」と不満そうに返ってきた。
 
その瞬間怒りに似た感覚が走ったが、そこは冷静に道順を言って見送った。サイゼリアをサイゼと略して何秒違うと言うのだ。フルネームで言うのがダサイことなのか。
 
昔、ファミマ、スタバ、マクド、マックなどは初めて聞いても分かったが、関西弁のサイゼは通じないぜ。仲間同士なら許せるが、他人と話すときはフルネームで願いたいものである。
 
最近例   イタク ⇒ 伊丹空港
      メリオリ ⇒ メリケンパーク オリエンタルホテル
      ラウワン ⇒ ラウンドワン (省略しなくてもいいのでは?)                            
 
また、スマホを差し出して 「ここ!」 とだけ言う人も多くなった。太陽の照る所で小さな字や地図をスマホから読み取るのは、大変に難しい。「言葉で言ってください」と言っても言わない日本人が増えてきた。悲しい。