第59話 高齢男性

駅前の 道案内を3時間程度行っていると200人を超える
日も多くなってきた。最近出会った高齢者の2例をご紹介。
小柄な高齢男性が近寄って来て帰る道が分からないという。
すぐに交番へと思ったが、住所を覚えてますか?に対して
「〇〇町3丁目」とハッキリ言えたので、それなら駅を出て
右へ、2つ目の信号を左へ曲がったあたりですよ。とジェス
チャー混じりに言うと、しっかりした足取りで歩き始めた。
次は、土曜日にしては人出が多いなと思いつつ案内していると
80代と見られる男性がスッと隣に来て、「天国に行く道はどこ
ですか」と聞いてきた。一瞬驚いたが、「私もまだ見つけていま
せん」と答えると、ニヤッとして街なかに消えた。