やさしい標識
 
 
 
神戸の街は地勢学的生い立ちから坂道が多い。
JR元町駅から兵庫県公館までの道のりも坂が続
   くので、車いすの方には重労働である。             
「お手伝いしましょうか」
と声を掛けやすくする標識がある。 
 
   
神戸市内の坂道に設置されている助け合いを促す標識=神戸市中央区北長狭通4
拡大
神戸市内の坂道に設置されている助け合いを促す標識=神戸市中央区北長狭通4
神戸医療センター近くの坂道では歩道に表示がある=神戸市須磨区西落合3
拡大
神戸医療センター近くの坂道では歩道に表示がある=神戸市須磨区西落合3

 「助け合いましょう」。そんな言葉が記された珍しい案内標識が、神戸市内の路上にある。勾配のきつい上り坂で、人が車いすを押す様子を表した青いピクトグラム(絵文字)だ。調べてみると、実は神戸市が20年前に設置し、ほかの自治体では、いまだほとんど導入されていないことが分かった。なぜ助け合いの標識が神戸にあるのか-。その背景と実情を探った。(斎藤 誉)

 

 神戸市建設局によると、この標識と表示は、垂水区本多聞▽須磨区西落合▽中央区北長狭通▽同区山本通-の計4カ所にある。基本的に、傾斜が5%以上の長い坂道か、8%を超える急な坂道を対象としている。ほかに、須磨区の神戸医療センター東側の坂道には、この勾配の基準を下回っていても、歩道の路面に表示がある。

 設置のきっかけは2000年、公共交通機関を対象とする「交通バリアフリー法」(06年にバリアフリー法に統合)の施行だった。従来、バリアフリー化の対象は建物に集中していたが、同法によって駅のエレベーターや、道路のスロープが次々と設置された。

 これに合わせ、市は02年から「助け合い」の標識の設置を始めた。市道路工務課の担当者は「20年前のことで、経緯の詳細は分からない」とするが、背景には六甲山系がある市の地形が関係しているという。