第24話 交番を静かに尋ねた女性 
 
 
 「交番はどこですか?」と聞かれることがよくある。一週間前の女性の場合が、何故か心に残る。
 
土曜日の午前10時過ぎだった。20才を少し過ぎたと思われる小柄な女性が、そっと寄ってきて 「おじさん、交番はどこですか?」
 
いつものように、方向を示しにがら 「ここを真っすぐ行った突き当りの左側ですよ」 と言いつつ顔を見ると、目に薄っすらと涙をにじませている。
 
女性は、続けて「心配そうに、そこには人が居ますか?」
人と言うのは、お巡りさんの事だと確認して、「常駐していますよ」と答えると、足早に交番へ向かった。
 
続くご案内を済ませると、ふと、先ほどの女性の涙は何だろう?と気になった。痴漢、付きまといといった恐怖感のある表情ではなく、寂しそうな、悲しそうな涙だったからだ。
 
大切な物を落として動転している人、全く言葉が通じない外国人でポリスの単語が聞き取れた人は、一緒にお連れする場合もある。
 
一週間前の女性も、お連れするべきではなかったかと後悔している。ボランティアガイドは、お客様のプライベートに入らないことが大切だといつも心しているが、このケースはお連れするのが良かったのかなぁ、と反省。