第31話 盗難バイクにピンときた
 
 
 三ノ宮駅周辺には、ご多分にもれず自転車の迷惑駐輪が多い。
 
この10年間でかなり少なくなった。駐輪場の整備が進んだこともあるが、JR保安員を始め、私も見つけては注意を続けてきた効果もある。
 
学生が春休みに入った日曜日、忙しくご案内していると、いつの間にか原チャリ(小型バイク)が、通行のやや邪魔になる所に置いてあった。サドルの上にヘルメットを置いてあるのですぐに戻る気配だった。
 
しかし、2時間ほど過ぎて活動を引き上げる時、そのままの状態で通行の邪魔になっていたので、ナンバープレートを見ると「イチゴクレヤ」(普段から自動車などのナンバーを語呂合わせで読む癖がある)と読んでいた。
 
5日後にご案内に出ると、同じ場所に同じナンバーの原チャリが、同じ角度で通行の邪魔をしているではないか。もしや盗難車ではないかとピンときた。
 
早速、交番に不審な違法駐輪のバイクがあると届け出た。警官が駆け付けてくれて、本部に問い合わせた結果、盗難届の出ているバイクだと判明。引き上げていった。
 
帰宅して、今日はいい感が働いたものだと思う反面、もし、そのバイクを止めるところを見ていたら、「そこへ止めたらダメですよ」と声を掛けていたことだろう。即ち、犯人と対面したことになり、厄介なことに巻き込まれていなかっただろうか? 複雑な思いに駆られた。